『ウィズネイルと僕』

『ウィズネイルと僕』

イギリスなどではカルト的人気を博している1987年の作品。日本では初ソフト化のよう。

1969年のイギリス、ウィズネイルと「僕」の売れない役者二人は同居生活をしている。ウィズネイルは自己中を絵に描いたような性格で、たいそうエキセントリックである。そのことをなげく「僕」であるが、「僕」だって相当に……




ウィズネイルの傲岸不遜にしてエキセントリックな変人という点ではシャーロック・ホームズに代表されるようにイギリスではおなじみのキャラクターであり、またスラップスティック調でありつつもウィットの効いた知的な雰囲気もイギリスらしい。男二人の同居生活というとBL的な想像を働かせる人もいるのだろうが(もっとも僕はBLがどういうものなのかよくわかっていないが……)、冒頭から同性愛的要素は隠されるどころかむしろメインプロットとなっている。また全体的な享楽的退廃的な雰囲気も合わせてオスカー・ワイルド色もにじんでいるとすることもできる。

傍若無人のようでいて二人とも実は気が弱いという展開などオフビートコメディ的要素が強く、ファッションも含めてこのあたりの「外し」加減がかえってかっこよく見えてしまうというのは、日本では『傷だらけの天使たち』や『探偵物語』あたりになじんでいる人にはおなじみのものだろう。

階級的暗喩も含めてこのようにいかにもイギリス的な雰囲気をまといつつも、どこの国であろうともある種の傾向を持つ人にとっては二人の醸し出す雰囲気や世界観が非常に魅力的に映るということは想像がつき、カルト的人気を博すというのもよくわかる。
先行作品との類似性という点から語ることもできるだろうし、また『トレインスポッティング』などこれ以降の作品への影響という点からも語ることができる。監督脚本のブルース・ロビンソンの自伝的内容であるようだが、そのあたりも普遍性を強化するものとなっているのだろう。

なおジョージ・ハリスンの映画会社ハンドメイド・フィルムスの製作で、ジョージの曲が使われているのはもちろん、ジミ・ヘンドリックスなど60年代の音楽が好きな人にとっても楽しめることだろう。
60年代後半はイギリスにとっても不況が前景化してくるなど実際には牧歌的な時代とはいいかねるのだが、80年代後半ともなるとこのあたりは良くも悪くもノスタルジックなファンタジーという面もあったのだろう。


再発に合わせて掲載されたガーディアンの評(こちら)に全てのセリフが引用したくなるほど楽しいとあるが、Withnail and I – Wikiquoteなんてのもある。


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佐藤太郎(仮)

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