The Hacienda 

ピーター・フック著 The Hacienda  




古本屋でペーパーバックを見かけて、邦訳も出ているけどそういえばまだ読んでいなかったしまあいいか、ということでピーター・フックのハシエンダをめぐる回想録をパラパラと。


フッキーはモリッシーはなぜだかわからないがジョイ・ディヴィジョンをずっと嫌っていた、とした後に、モリッシーとニュー・オーダーのマネージャーのロブとがThe Tubeという番組に出演した時のこんなエピソードに触れている。カメラが止まったところでロブがモリッシーに向かってこう言ったのだという。

'The trouble with you, morrissey, is that you've never had the guts to kill yourself like Ian. You're fucking jealous.'

ブチキレて出てった時のあいつの顔を見せたかったよ、とか書いてるんだけどさ、「お前にはイアンみたいに首くくる勇気なんてありゃしないんだもんな」なんて言われたらそりゃキレますわ。こういうことする人たちだから嫌っているんじゃ……と思うが、まあファクトリーとスミスというのも因縁ある関係だし。

このインタビューは84年のハシエンダになっているけど、この時なのかな。


 
ただモリッシー論としてはこれは言い得て妙という感じもする。悪態つきまくろうが首も吊らないし、オーヴァードーズで若くして命を落とすこともない。にもかかわらずではなく、だからこそ、モリッシーはあの時代にあのようなカリスマ性を獲得できたとすることもできるのかもしれない。


この本の中で一番好きなエピソードにこんなのがある。ニュー・オーダーがツアーに出る際に機材をレンタルしたのだが、そこにはばっちりと「FAC 51」と刻まれていた跡があった。つまりハシエンダで盗まれた機材が転売を重ねられ、めぐりめぐってニュー・オーダーはわざわざカネを出して昔盗まれた機材を借りるハメになったのであった。ハシエンダがいかなる状態だったかということを端的に表しているエピソードだろう。当人からしたらたまったものではないのだろうが、やっぱり愉快なことに感じられてしまう。もし金勘定にまともな人間がファクトリーやハシエンダを経営していたら、なんてことを考えてしまうこともあるが、すぐにそんなのじゃファクトリーでもハシエンダでもなくなってしまうとしか思えなくなってしまう。

フッキーは「いいか、この本から学べることがあるとすれば、それはまず第一に、絶対にダチとナイトクラブを始めるなってことだ」としているように、まあよくこんな状態で15年もやれたものだと思うほどしっちゃかめっちゃかな経営だったのであるが、その滅茶苦茶さこそが魅力でもあったのだろう。


フッキーと袂を分かったニュー・オーダーの新譜とバーナード・サムナーの伝記の邦訳も出た。こちらはまだ未読なのでハシエンダの経営について何か書かれているのかわからないが、バーニーからすればまた違った光景が映っているのだろうが。




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Author:佐藤太郎(仮)
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