かんそーやらなんやら

フリッツ・ラング監督『恐怖省』




あまりの終わりかたにびっくらこいた。「これは製作中にトラブルがあったため別のスタッフが無理やりくっつけたんです」と言われればそうなのか、と納得してしまいそう。実際にはそういうことではないようですが。劇場で見てたら、「え~、うっそー」とおもわず声あげてただろうな。

といってもつまらなかったわけではありません。傑作とはいえないでしょうけど。ちょっと不気味なバザーのシーンとか盲目を装っている男、降霊会とかは20年代のドイツ映画風の感じでフリッツ・ラングの面目躍如って感じで非常によかったです。闇に光る銃弾の跡とかもいいなあ。

『渚にて』




空中キャンプさんのを読んで(こちら)見てみようかな、と。

核戦争後を描いた反核映画であるんだけど、不思議というか奇妙な味わいのある映画だった。
というかアンソニー・パーキンス(『サイコ』のあの人です)が出てるためになんとなくサイコ・ホラーに見えてしまうという罠。
鏡越しにぬっと現れるシーンがあって、感動のシーンなんだけど「きえ~、逃げて~!」なんてふうに見えてしまうんだな。

ちなみに『渚にて』は59年の公開、『サイコ』は60年の公開でありまする。逆だったらどういう反応だったんだろう。『サイコ』のアンソニー・パーキンスはやっぱり強烈すぎですよね。




んでもって『モンキー・ビジネス 人生の意味号』読了なり。




スティーブン・ミルハウザーはやっぱりいいなあ。「私たちの町の幽霊」、原題はPhantomsなんだけど、これってghostよりも日本の妖怪に近いような。

チャールズ・シミックの「人生の意味」もいい。
七十二歳になっても自分が歳を重ねたということがよく実感できない男。他人事ではないです。まあ重ねてきた人生の内容が全然違いますが。

高橋源一郎さんの「人生相談」は、やっぱりこういうの書かせたらお手の物だな。
円城塔さんの「捧ぐ緑」も好き。
だけどやっぱり目が離せないのは岸本佐知子さんの連載「あかずの日記」。今回は一段とヤバいw

「人生の意味」なんてなんだか柴田元幸さんらしくもないような気もするがテリー・イーグルトンのThe meaning of lifeから思いついたとのこと。柴田さんイーグルトンを読むのか、とちょっと以外。

巻頭企画(というのでいいのでしょうか)ではいろんな人に「人生に意味はあるでしょうか」と問いかけ、その回答が載っている。
当然ながら頼まれてもいないが、勝手に考えてみる。

「人生に意味はあるのか」という問いに答えるのは難しい。
なぜ難しいのかというと、すでに答えが用意されているからである。
おおむね次の三つのパターンに分類できる。

A 人生を意味あるものにするかどうかはあなた次第です。だから一所懸命生きて人生を意味あるものにしましょう、という道徳的説教型。

B あなたがこの世に生を受けたのはそれ自体が奇跡なのです。両親が出会う確立、さらにその両親が出会う確立、そしてさらに……と想像してみなさい。つまり、かけがえのないあなたという存在に意味がないはずはありません、というスピリチュアル系人間っていいものやん的紳助型。

C 人生に意味なんてありません。あなたの両親が出会いセックスをして精子と卵子が結合したのもただの偶然にすぎません。地球があるのも人間という種が存在しているのもすべてただの偶然です。偶然に意味などありません。そんなこと考えるだけ無駄です、というニーチェ風実存主義的ちゃぶ台返し型。

モンキー・ビジネスに寄せられた回答もだいたいはこの三つのどれかにあてはまる。
答えが用意されているのなら簡単なんじゃないの、と思うかもしれないがそうではない。
つまり、どう答えるかはコンテクストに激しく依存してしまうのだ。

例えばあなたに5歳の子どもがいたとして、その子が夜中に布団にもぐりこんできて「ねえ、パパ/ママ、ひとってどうしているの?ぼくってなんでここにいるの?そういうふうにかんがえてたらなんだかこわくなってきちゃった」なんて言われてパターンCを答える親はあまりいないだろう。

逆に相手がシラケインテリタイプで、あなたを小バカにしたような態度を取っていたら(そんな奴になんで答えなければならないかはともかくとして)パターンAやBを選ぶのに躊躇するだろう。

年末になると本だの映画だののベスト10のアンケートがあるが、あれを純粋無垢に自分の面白かった順に並べている人は少数派だろう。
自分はこう見られているだろうという予想があり、こう見られたいという願望があり、あらかじめ期待される答えがあり、それに応えるべきか、あえて裏切るべきかという葛藤が生じる。

「人生に意味があるか」という問いに答えるのはこれに似ている。
まるでポーカーで、互いに札を見てもいない両者の間で掛け金が上がり続けていくようなもので、「正しい」着地点がどこなのか誰にもわからなくなってくる。
もっともここで賭けられているのは金ではなく自意識なのだ……

ということでせっかく書いたブログネタを消して代わりににこういうものを書いているしだいで。
罪山罰太郎さんもこんなこと書いているが、自意識ってほんとや~ね!


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佐藤太郎(仮)

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