世論調査と陰謀論

完全に周回遅れのエントリーですが……

9月17日の朝日新聞の「オピニオン」欄の
菅原琢氏のインタビュー記事が一部で話題になった。
内容は「世論調査批判」批判である。
当該記事を読んだが特に過激であるとか偏っているということもない
普通で常識的な内容だと思う。
だいたいにおいては僕も同意。

これに吹き上がった人の一番の要因は朝日新聞に掲載されたということだろう。
朝日はご存知の通り(?)産経をもしのいで
最も「小沢叩き」に力を注いできた新聞である。
菅原氏の意見があたかも朝日の姿勢を正当化しているように
読めてしまったのだろう。

世論調査についてはすでにいろんな人が書いているが
山口浩氏のコラムを貼っておく(ここ)。
この「騒動」はもうこれでいいっしょ、という気もするが
いくつか気になる点もあったので思いつくままに書いてみる。

まず参考までに言っておくと僕が仮に民主党代表選挙の投票権があったとしたら
小沢一郎に投票していたと思います。
その理由についてはすでに別に書いたのでそちらをご覧下さい。

「小沢信者ww」と揶揄される人たちはどこを誤っているのだろうか。
それは「マスメディア不信」と「世論調査不信」と
「世論調査の使い方への不満」とを全てごっちゃにして考えてしまっていることだ。

彼らからすれば「腐ったマスゴミは官僚/アメリカの意向を汲んで真の改革者たる
小沢一郎を潰そうとし、世論調査の結果を捏造し、その数字でもって
小沢を追い詰めようとしている」となる。
当然ながら完全な陰謀論であり、お話にもならないといえば
それまでである。

問題はこの手の陰謀論が、控えめなものを含めれば少なからぬ人に
支持されている背景である。
自分にツッコミをいれると「少なからぬって何人だよ?
エビデンスはあるんかいな」となるのだが
数については数千なのか数万なのか数十万なのか
わからない。しかし広義の小沢支持(僕もそのうちの一人)は
無視できない数がいると言っていいと思うし、その中の
大多数が新聞・テレビに対して非常に不満を持っていることだろう。
新聞もそのこと多少は感じているはずである。
でなければあのような記事が載ることはなかったであろう。

インターネットの弱点としてしばし指摘されるのが
情報が一方向に強化されてしまうということだ。
今回の代表選でもツイッターを眺めていたら
「俺のTLには管/小沢支持なんてぜんぜんいないんですけどw」
というようなツイートをいくつか見た。
この理由はかんたんでその人が小沢/管支持の人を
フォローしてないだけだ。

よく引かれたニコニコ動画の「アンケート」にしても
いってみれば巨人戦をやっている東京ドームで
「あなたの好きなプロ野球チームは?」という
アンケートをとるのと大して変わらないものである。

ということで「小沢信者乙」で終わっていいのだろうか。
インターネットが一方向に情報を強化すると書いたが
実はそれは現状の日本の新聞・テレビもあまり変わりないように思える。
ところが「小沢信者」を嘲笑するだけではここの部分が
覆い隠されてしまう。

小沢問題を例にとると面倒臭いのでここは消費税で考えてみよう。

多くの世論調査では消費税増税に賛成する人の割合はだいたい
六割から七割くらいにのぼる。
これには「今すぐ上げるべき」から「いやだけど仕方ない」という
消極的支持まで含まれている。
そしてマスメディアはこの数字を受けて
「国民はすでに覚悟を決めている。次は政治の番だ」的な
論調をとることがしばしば見られる。

しかし消費税増税問題で、新聞各紙の立場は
「いますぐ上げるべき」か「仕方ない」くらいの差しかなく、
基本的には全紙増税賛成である。

財政再建のための
消費税増税に反対するのは簡単だ。
そもそも日本の財政赤字の要因は
税収不足にあるのではないだろうか。
その最大の原因となっているのはデフレであろう。
ここ十年以上に渡って経済がシュリンクし続けて
いるのだから当然だ。
つまりデフレ解消を主張せずに消費税増税を唱えるのは
本当に財政再建のことを考えているとは思えない。

さらには、不況下で消費税増税を行えば
不況がいっそう深刻化し、よりいっそう
税収が落ち込むのではないか。
日本は97年にそのことを経験しているのではないか。

僕は経済のけの字もわかっていない人間であるが、
ネット上には経済学者によるきちんとした
消費税増税反対意見などいくらでも見つかる。

しかし新聞紙上にこのような意見がきちんと紹介されることは
ほとんどない。
その原因については(さらに長くなるので)ここでは述べないが
そもそも消費税論議はマスメディアによる
ミスリードがあまりに浸透してしまって、
世論調査の数字がどう出たからといって
「国民は覚悟しているのだから政治は決断せよ」
と迫るのはあまりに乱暴である。

長々と何を言いたかったのかというと、
一言で片付けると「マスメディアは責任をきちんと果せ」
ということだ(最初から一言で済ませろよ!)。

消費税問題では、自分達が増税賛成なのはそれで構わないが
(まぁ構うんだけどここではとりあえずそういうことにしておく)
「社会の公器」を自認するなら批判に対してきちんと
応える必要がある。

世論調査の問題に立ち返るなら、
簡単に浮かぶいくつかの疑問にしっかり答えればいい。

例えば電話世論調査の場合、
オペレーターがかけているのか、機械による音声システムで
行われたのか。
回答者の性別、年齢の分布はどうなっているのか。
質問は正確に紙面に掲載されている通りで
誘導的なものはないのか。
質問順も意図的に誘導的になされていないか、などなど。

こんな下らない質問に紙面が裂けるか、というのなら
ホームページにでもデータをあげておけばいい。
そうするだけでずいぶん印象は変わるはずだし、
逆にそうしないのはできないからではないか、
という疑念を増幅させるばかりではないだろうか。

「小沢信者」の陰謀論について書いたが、
いついかなる時代においても陰謀論にはまる人々はいるものである。
しかしこれが支持を多く集める状況というのは
大変危険なものである。
そして現状のマスメディアは陰謀論を打ち消すどころか
それらを強化するような存在となってしまっている。


なぜ周回遅れを承知でこのようなことを書いているかというと
19日の朝日の朝刊の一面に
「GLOBE編集長 山脇岳志」なる人が
またもや例のごとくの記事を書いていたからだ。

曰く「国家戦略室のスタッフは小沢首相下での経済、財政の
行き詰まりにそなえて子どもを海外留学させる決心をした」(要旨)。
さらに日本に詳しい元米政府高官(マイケル・グリーンか?
だとしたらクソにクソの上塗りの記事だぞ)
「小沢氏の金権体質はあまりに古い」とまず小沢叩き。
ついで「管氏でも安心はできない」(元高官)として
記事の締めくくりとして消費税増税を求め
さらなる自由貿易の推進を、だと。
もちろん金融緩和には一切言及せず、
為替介入も一時しのぎなんだとさ。
緊縮財政に増税で金融政策はナシで
どうやってデフレから脱却するんですか、山脇さん?

朝日の記事としては120点でハナマルもらえることだろう。
でも、いつまでこんなしょうもないことを
書き続ける気なんだろう。
ほんとに陰謀論が大手を振るう世の中になっちゃうよ!








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佐藤太郎(仮)

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