『学歴・階級・軍隊』

高田理惠子さんの本を読むのは
『文学部をめぐる病い』『グロテスクな教養』についで三冊目なのだけど
これもやっぱり面白い。




本書は、大日本帝国の軍隊(とりわけ陸軍)と
旧制高等学校を主な舞台としている。
中略軍隊と旧制高校の両方を体験した男性たちの、
その両方をめぐる言説を考察の対象にしている
。(p.288)

とあるように、とりわけ一高、そして陸軍の内務班をめぐる
ある種のエートス、そしてそれにまつわる
コンプレックス(まさに複合観念)をめぐる本である。

帝国陸軍というとよくも悪くもステレオタイプ化された
イメージを抱きがちだ。
例えば本書でもキーとなる丸山眞男の兵役体験。
のちのちまで影響を与えた陸軍は「擬似デモクラティック的」
という評。
佐藤卓己の言葉で言えば「下降的平準化」は
一面では真実でありもう一面では歪んだものであった。
特に内務班をめぐっては

戦争末期、ごった煮をさらに煮詰めたような内務班
(改めて強調しておきたいが、戦場の部隊ではない)が
出現したのだった。
(p.56)

ということは体験した人間でなければわからないかもしれない
複雑怪奇な世界である。

また同じ軍隊体験、あるいは非体験にしても
まったく違った印象を抱いている人々の記録。
小説になるが大西巨人の『神聖喜劇』と
野間宏の『真空地帯』のズレなど。

軍隊体験や日本の軍をめぐる独特の状況
(ドイツの予備役少尉との差)
『きけわだつみのこえ』をめぐる混乱などを
描きつつ最後に(途中からちょこちょこ顔を出していたんだけど)
登場するのが「光クラブ事件」の
山崎晃嗣である。
彼をめぐっては一高的エートスの歪みや
徴兵においての微妙な年次の差による体験の差など
ある部分まさに本書の象徴ともいえる。

丸山眞男や庄司薫(ここにもちょこっと顔をだす)そして
赤木智広さん(彼も最後に登場)についても
書こうと思ったけど長くなるのでそれはまた別に。




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佐藤太郎(仮)

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