How does it feel

『ネヴァーマインド』発売20周年の年にR.E.M.とソニック・ユースが解散かぁ……などという気分になりかけたのだけれど、ソニック・ユースの方はサーストンとキムが別れたってことだけでバンドの解散が決まったってわけではないのですよね。
バンド内に夫婦がいるというのはそう珍しくもないけど、離婚した後も一緒にバンドを続けたったケースってあるのかなぁ。

人間関係がこじれるというのはどういったシチュエーションでもあるものだが、それが最も先鋭化されるのは結婚とバンド内でのいざこざなのかもしれない、と結婚したこともバンドを組んだこともない俺が言ってみる。

ついに再結成してしまうこととなったストーン・ローゼズのイアン・ブラウンとジョン・スクワイアは確か幼馴染だったように思うが、20年以上つきあってきて、すさまじい成功を収めたあげくに絶交状態となり、さらに十数年立って仲直りしてバンドを再結成するというのはどういう気分なのだろう。類似体験が一つもないものでまるで想像がつかない。

サーストン&キムの離婚やらローゼズの再結成のニュースなどを見ていて、なぜか今、この人の顔が浮かんできてしまった。その名はトム・ヴァーレイン。

サーストンはパティ・スミスに憧れてニューヨークに出てきたが、サーストン少年が見とれていたロバート・メイプルソープによる印象的なジャケット写真が撮られたころ、パティが付き合っていたのがテレヴィジョンのトム・ヴァーレインだった。

どこかの本で、二人が付き合っていたころ、ある日トム・ヴァーレインが顔中ひっかき傷だらけで現れたというのを読んだ気がするが、これは僕が好きなエピソードの一つ。パティが男の顔をひっかく姿は想像できるが、トム・ヴァーレインが女に顔をひっかきまわされるというのは想像しにくい。クールで知的、ちょっとトゲトゲしたような人がこのザマとは、きっとみんな隠れて爆笑していたに違いない。

もしタイムマシンがあって、一夜だけ過去に行けるのだとしたら、僕が選ぶのはリチャード・ヘル在籍時のテレヴィジョンのライヴかもしれない。




パティ・スミスの4thアルバム『ウェイヴ』はいささか牙が抜かれた観が否めないが、その一曲目は神懸り的ラヴソングの「フレデリック」である。



トム・ヴァーレインと別れたパティはMC5のフレッド・”ソニック”・スミスと結ばれる。ソニック・ユースの「ソニック」はフレデリックのニックネームから取られたんだぜ、まざーふぁっかー!



スミス夫妻の結婚生活はフレデリックの死という形で終わりを迎えてしまう。ちなみに二人の息子が後に(こちらも元となってしまった)ホワイト・ストライプスのメグと結婚することになる。

月日は流れ、2002年にはテレヴィジョンは再々結成でフジロックにやってくる。「フェスなんて敷居がたけ~よ」と思っていた僕も重い腰をあげて見に行ったのだが、「テレビジョンをナマで見れた!」という感動はあったものの、現役感が失われていたことにはいささか肩を落としてしまった。誰かが「マジックはもうなかった」というようなことを書いていたが、同意せざるをえなかった。この年は同じくパティ・スミスもフジにやって来ていたのだけれど、パティは紛れもなく現役バリバリのオーラを放っていた。それだけに落差は少し哀しかった。






歳をとったのはトム・ヴァーレインだけではなく、美少年風だったリチャード・ロイドもただのおっさんになっていて、別人なんじゃないかという疑いを抱いてしまった。
リチャード・ロイドはテレヴィジョン解散後、有名なところではマシュー・スイートの『ガールフレンド』なんかでギターを弾いている。ソロも結構いいんだけどなあ。







トムとパティは別れてそれでおしまいというのではなく、楽曲を提供したり、レコーディングに参加したりと音楽的交流はずっと続いていた。
公式の音源としては、2005年の『ホーセス』の30周年記念盤にも参加している。その後もツアーでバックを努めていたりもする。


そして迎えた2009年、パティがまたフジにやって来るというので、またまた重い腰をあげて見に行ったのだが、そこで衝撃の光景を目にしてしまう。
パティのバックになんとトム・ヴァーレインが参加していたのである!そしてご覧のように、なぜかずっとイスに座っているのです。この曲だけじゃなくてずっと。なぜなんだ……




登場とはける時には普通に歩いていたので足を怪我していたとかいうのではなさそうであった。当時の他の映像などをあさってみると、この頃のライヴはやっぱり座ってるのです。
座ってたほうが弾きやすかったのだろうか。まさか疲れるからってことじゃ……。そこまで爺さんじゃないだろ。

この時またしても哀しかったのが、パティがバンドのメンバーを紹介し、トム・ヴァーレインの名が呼ばれても会場がほとんど反応がなかったんだよね。まぁフェスだから集まってるのはファンばかりじゃなかったのだろうけど。

で、なぜ今トム・ヴァーレインを思い出しているのかということにようやく辿り着いたのだが、この時って確かパティはベースの人と付き合ってたんじゃなかったっけ?(間違ってたらごめんなさい)。
昔の恋人と再び一緒に音楽をやるのみならず、バンドにはその元恋人の現在の恋人もいるっていうのはどういう心境なのだろう。これはほんとに想像もつかない。大して気にしてないのかもしれませんが。

テレヴィジョンを追い出されたリチャード・ヘルはジョニー・サンダースとハートブレーカーズを結成するがやはり両雄並び立たず。ようやくロバート・クワインらとのヴォイドイズへと至るのであります。
そのジョニー・サンダースもロバート・クワインも亡くなってしまい、ヘルも音楽は引退して(?)作家となってしまった。





トム・ヴァーレインも、もともとは詩人になろうとしてくらいなのだからそろそろ自伝でも書いたらどうなのかね。それなりに需要はあると思うのだけれど。
それにしてもトム・ヴァーレインとリチャード・ヘルという正反対とも思える二人が高校で親友だったというのもすごい話だよな。

テレヴィジョンでのブランク・ジャネレーション。



自伝といえばパティのJust Kidsの翻訳はどうなってるんだ?! 下手な英語で読むより翻訳を待とうと思ってたのに、いったいどれだけ立ってるのやら。



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佐藤太郎(仮)

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