奇怪なるTPP推進派

TPPについては熱く語る能力も意欲もないのだけれど、報道を見ているとどうにも奇怪な印象が湧いてくる。何かというと民主党内のTPP推進派についてである。

民主党内で推進派とされる主な議員の顔ぶれを見ると、野田、仙谷あたりを筆頭にだいたい消費税増税派と重なる。この手の議員はだいたいがデフレ放置、円高容認でもある。

また同じことを書いてしまうけれど、デフレ下、ましてや震災というショックの中での増税というのはどうかしているとしか言いようがない。逆に言うと、消費税を引き上げたいと本気で思っているのであらばデフレ脱却にこそまず取り組まなければならないはずだ。
これも繰り返しになるが、「今すぐにでも増税を!」とお題目を唱える連中の多くが、合理的理由ではなく精神論に基づいているように思える。「遅かれ早かれ増税は必要」→「ならば早ければ早いほうがいいはずだ」→「俺はもう腹を括った」→「痛みを恐れずに決断できる俺ってスゴイ!」ってな思考回路なのだろう。

TPPはざっくり言っちゃうと、マクロレベルではプラスであるがミクロレベルになるとどうなるかよくわからないというところなのではないか。
そうだとすると、経済学者が「マクロで得なんだから参加すべし!」というのは賛否はともかくとして筋は通っているとも言える。

民主党内のTPP推進派は「自由貿易でガンガン儲けたるで~」ということなのかといえばむしろ対極のように思える。
だいたいTPPの内容以前にこの円高ではにっちもさっちもいかないことは嫌というほど体験している最中なのに、よりによってTPP推進派が円高容認とはどういうことなのだろうか。
仙谷は確か消費税を上げる理由として「日本はもう経済成長しないから」と言い放ったのだとか。こんな発言は経済学者が聞いたらひっくり返るだろう。

「マクロ的観点からTPPに参加すべし」、どころかマクロ経済学を一顧だにしないような連中がTPPを推進しているのはどういうことか。もちろんこれも精神論であろう。その象徴が管直人がTPPは「平成の開国」と言ったことだろう。
僕は基本的に「維新好き」の政治家は眉に唾することにしている。こういうのはたいていは自分に酔っているだけで合理性のかけらもない連中なのである。

彼らは不況、デフレ、震災直後での増税に反対されながらもなぜ頑ななのかといえば、反対にめげないのではなく、反対されればされるほど気持ちがいいのだろう(「あいつらは新しい時代に適応していくことのできないダメな連中だ。適応する覚悟を持ってる俺はなんてすごいんだ!」)。
円高にしても同じで、円安に誘導して景気を上向けるよりも「円高に適応した経済を作る」などという方向に行ってしまう(で、どうやって?)。
民主党内の推進派議員の多くを見る限りでは、「増税に耐え、円高に耐え、TPPにも耐える。万難を排してそんな決断ができちゃう俺ってやっぱすげえよな!」という精神論にしか見えないのである。


ちなみに僕自身はTPPには懐疑的である。
心配なのは農業や医療ではない。ここらへんは農協だの医師会だのといった圧力団体も強いし、一般の関心も引きやすい。ということは政治家も口うるさいということであり、そうなると実際に交渉にあたる官僚も変なことはできないはずだ(というのは甘いという人もいるだろうけど)。
ここ数日ネット上では著作権関連のことが話題になっているが、おそろしいのはこういった一般の注目を引きにくい項目である。こういう問題で日本の官僚の良心や胆力には期待をかけないほうがないだろう。

……というような理由もさることながら、野田やら仙谷やら前原やら岡田やらが推進派ならとりあえず反対しとけっていう気分になってしまうというのが正直なところなんですがね。




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佐藤太郎(仮)

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