『宇宙人ポール』

『宇宙人ポール』

ようやく見に行ってまいりました。





監督のグレッグ・モットーラ(『スーパー・バッド 童貞ウォーズ』)、脚本・主演のサイモン・ペッグ&ニック・フロストのコンビ(『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』)の過去作を気にいったうえでこの作品を見た人なら「つまらない」と感じる人はまずいないだろう。
一方で「大傑作!」と評する人だけでなく、「期待したほどではなかった」という意見もちらほら見られたような気もする。これはハードルを上げ過ぎた故にうまく楽しめなかったということだろう。


確かに前半はややエンジンのかかりが遅い印象があった(正直少し不安になった)。
またサイモン・ペッグの前に女が現れニック・フロストが嫉妬するというこのコンビおなじみの展開(今回は宇宙人にまで!)は笑えたことは笑えたのだが、ちょっとストレートに出しすぎという気も。当人がはっきり自分で説明しちゃうってのはどうだったのかなぁ。ファンサービスであり、一見さんにもわかりやすくということだったのかもしれないけど。

また批評的切れ味という点ではどうか。
すでによく指摘されているが、がさつで下品だけどフランクで陽気なナイスガイというポールはアメリカの外からみたアメリカ人のポジティブなイメージであり、ペッグ&フロストが出会うことになる偏狭で排他的で狂信的で暴力的な人々はアメリカのネガティブな姿の反映であろう。
アメリカの、特に田舎の方では、外国はおろか生まれ育った州の外にすら出たことがないという人がかなりいるとされる。このような人々にとっては「エイリアン=外国人」は憎むべき存在であり恐怖をもよおさせる存在でもある。
一行が出会う神懸り的だったルースは、「エイリアン=外国人」に出会うことによって解放される。「まさに!」と思う半面ありきたりかな、とも映ってしまう。ここらへんはかえってアメリカに直接馴染んでいる人のほうがぐっとくるのかもしれない。
批評性という点では、やはり『ホット・ファズ』のあのぞくっとさせるエンディングからするとやや落ちるかも。

サイモン・ペッグとニック・フロストにとってはアメリカという新たな舞台であり、新たな市場でもあったのだが、ここらへんがうまい方に出たかといえばやや微妙な印象も持ってしまった。

では不満だらけだったのかというとそんなことはない。非常に楽しめた。何よりもしっかり笑えるところがいい。コメディ映画としては当たり前だが大切なこと。笑いもスラップスティックからナンセンス、ブラックに毒をきかせたものと多彩だ。
さらには、この作品では元ネタがいろいろと話題になるのだが、映画的教養のない僕にはほのめかされる多くが理解できなかった。とはいえ、『未知との遭遇』を見てないという人にはわからない部分が多すぎたかもしれないが、そこを除けば「映画おたく限定」というような閉鎖的な雰囲気ではない。もちろん元ネタ探しというのも楽しいのだろうが、見る側を怯えおののかせるような類の作品ではないし、そこもいい。

この作品は事前にどのような心構えをするかで印象は少々変わるかもしれない。この作品を見るにあたっての「正しい心構え」とは、心構えをしないということなのかもしれない。
「超のつく大大だ~い傑作だよ!」みたいな感じに肩肘張ってきばって見るのではなく、友達同士でポップコーンでもつまみ、Lサイズのコーラでもグビグビやりながらワーキャー言いつつ見るというのが「良き楽しみ方」なのではないかと思えたし、製作側もそういう感じでの受け入れられ方を望んでるんじゃないかなぁと思うんだな。

ま、あたしゃ一人で見に行ったんですけどね。







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佐藤太郎(仮)

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