スティーブン・キング、あるいは村上冬樹とThe Scrap

図書館に行ったついでにTIMEのバックナンバーをパラパラながめていたらこんな一節にでくわした。

Stephen King recently commented, “the euro simply will not be able to survive.”

まあ素人目に見てもドイツとギリシャが同じ通貨圏というのは無理があると思えるが、かといって 現在ドイツが中心になって進める緊縮財政路線が適切な対応なのかというと……ってStephen King? あのスティーブン・キングが村上龍化でもしてこんなコメントを、と一瞬思ってしまったのだが、HSBC Chief Economistという肩書きがありました。同姓同名でしたのね。

こちらのスティーブン・キングさんはこんな方。




この業界では結構有名な人なのかもしれんが、一般的には圧倒的に作家のキングの方が知名度が高いだろう。このエコノミストのキングの方は30年以上に渡って初対面の人に名乗るたびに半笑いを返されているのかもしれないと思うと勝手に同情してしまう。

そういえば経済学者にニック・ロウ(Nick Rowe)という人もいる。ミュージシャンのニック・ロウ(Nick Lowe)とは綴りが違うけど、カタカナでは同じ表記なもので、経済学者の方のニック・ロウへの言及があったりするとなんか妙な気分になる。


村上春樹はデビューした頃に「そのペンネームはやりすぎ」という忠告を受けたというようなことを前にエッセイに書いていたような気がする。70年代後半といえば村上といえば龍、春樹といえば角川なもので、適当なペンネームを付けたのだと思われたのだろう。「村上春樹」というのは本名。
秋本治は「こち亀」の連載当初、「山止たつひこ」というペンネームを使っていたが(もちろん「がきデカ」の山上たつひこからいただいた)、さすがにこれはやりすぎだったと反省してるようだが、「村上春樹」というのもそのように写ったのかもしれない。

村上龍の本名は村上龍之助。「之助」があるのとないのでは結構イメージが変わるような。
村上春樹は自分の名前について「春樹よりも冬樹のほうがよかった」みたいなことも書いていた気もしたが、「村上冬樹」というペンネームにしていたらこちらもまた結構イメージ違ったかも。
池澤夏樹の娘は池澤春菜だが、最近はこういう季節を名前にとるということも減ってきている気がするのだがどうなのだろう。

この人池澤夏樹の娘です、といきなり言われたらまず信じないだろうな。




村上春樹と池澤夏樹と池上冬樹で秋について(あるいは『枯木灘』の秋幸について)鼎談するとかいう企画を立てたら、「下らない」と一蹴されてしまうのかな。

柔道に「上村春樹」という人がいるのだが、確かこの人のこと「少し気になる」みたいなことを書いていたよなあ、『The Scrap』だったっけ?ということが気になり始めてパラパラ見返しみたらビンゴ! 
「オリンピックにあまり関係ないオリンピック日記」(84年のロサンゼルス・オリンピックの時ね。ちょうど『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』執筆中という記述がある!)の八月八日に「新聞のTV欄のオリンピック中継のところを見ると柔道の解説に上村春樹さんという人がいる。どんな人かちょっと見てみたいような気もするのだけれど、そのためだけに近所の電気屋さんに行ってTVを見せてもらうというのも面倒な話である。柔道にもまったく興味がない」とのことである。春樹より冬樹がいい、というのも同じところにありました。「冬樹の方が渋くてストイックで寡黙なかんじがする」のだそうだ。
ちなみに上村春樹は現在講道館の館長にまでなっているのですね。

テレビ云々というのは、村上家ではこの頃テレビをアンテナにつないでなくて(結局男子マラソンの前にセットするとこになる)、六日の女子マラソンはホテルに泊まったために見ることができた。この日の奥さんとの会話は爆笑もの。乳房に特殊なものを巻きつけて走る女性ランナーという発想がすごい。

九日は神宮球場にヤクルト戦を見に行ったが、ヤクルトは惨敗で「浅田彰氏によく似たビールの売り子を発見したのが本日の唯一の収穫であった」なんてこと書いてる。こういうこと書くから嫌われたのか嫌われてるからこういうことを書くのか知らんが、浅田彰によく似たビールの売り子を想像するとなんだか妙に笑えてきてしまう。
後に『1Q84』を書くとき、浅田が同名の本を出していたので手紙を書くことになるのだが、この頃はもちろんそんなことは想像もしなかっただろう(ほんとの1984年だもの!)。シドニー・オリンピックを取材することになるなんてことも。

当時は想像もしなかったであろうことで言えば、「スター性のある編集者をここに三人だけあげて個人的に表彰しておきたいと思う」として「銀メダル」に安原顕の名が。
う~む、時は流れる。そして春樹の昔のエッセイを読み返し始めたら時が吸い取られていってしまった。
『The Scrap』にはスティーブン・キングに触れた文書がいくつかありますね、ということで一周回っておしまい。




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佐藤太郎(仮)

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