Mermaid Avenue

ウディ・ガスリーの詩にビリー・ブラッグとウィルコが曲を加えるというプロジェクト、Mermaid Avenueのthe Complete Sessions というのが出るのね。ⅠとⅡは持ってるんだけどDVDは持ってなかったし未発表曲も収録されるようなのでこれは買わねば。






そんなわけで今聴き返しているんだけど、個人的にはⅡのほうに好みの曲が多いかなあ。

ウディ・ガスリーのAll You Fascistsはこんな感じ。



ビリー・ブラッグはこうアレンジしている。



こっちのほうがビリー・ブラッグらしいかも。



言っておくぞファシストども、聞いて驚くな この世界では組織が整いつつある お前らの負けなんだよ、ファシストども

人種憎悪も俺たちを止められない 俺にはわかるぜ、お前らの人頭税もジム・クロウ法も強欲さも終わりだってことがな お前らの負けなんだよ、ファシストども

あらゆる肌の色の人々が並んで行進する ファシストどもで死屍累々の戦場を進んで行くんだ お前らの負けなんだよ、ファシストども

俺はユニオン銃を持ってこの戦いに馳せ参じる この戦いに勝つ前に 、俺たちはこの奴隷の世界を終わりにするんだ  お前らの負けなんだよ、ファシストども



(今適当にやったので訳については堪忍して下さい)


All You Fascistsは1942年だが47年にはウディ・ガスリーはこんな詩を残して、ビリーブラッグはこんな曲をつけている。



歩くのも違法 話すのも違法 ぶらつくのも違法 働くのも違法 読むのも違法 書くのも違法 黒いのも茶なのも白いのも違法

なんでもかんでも違法なんだとさ 俺のギャラは安いよ、旦那 高値のブルーズを唄うさ

食べるのも違法 飲むのも違法 心配するのも違法 結婚するのも落ち着こうとするのも違法 フーテンみたくぶらぶらするのも違法

なんでもかんでも違法なんだとさ 俺のギャラは安いよ、旦那 高値のブルーズを唄うさ


ポリティカルな歌詞も多いが、一番好きなのはラヴ・ソングであるこれかも。



イスが微妙に低い気もするが、やっぱいいですよねえ。
それにしてもウィルコは今の布陣からするとほとんど別のバンドだな。ジェイ・ベネットもまだいる……。この作曲のクレジットはジェイとジェフなのですよね。

この後に撮られるウィルコのドキュメンタリーもすさまじかったけど、ジェイの死の後では見返すのは辛い。日本版はタワレコで限定で復刻されてますね。店舗でもあるところにはまだ在庫ありますね。





そういえば村上春樹が『意味がなければスイングはない』でウディ・ガスリーを取り上げていたっけ、と思って引っ張り出してみたらありました。「国民詩人としてのウディー・ガスリー」。
Mermaid Avenueにも触れていて「この二枚のCDはとても内容が充実しているし、何よりも聴いていて素直に好感が持てる」としている。
ウディ・ガスリーは伝記映画の『わが心のふるさと』のイメージが強いものの、最近読んだ伝記Ramblin' Manで「ウディー・ガスリーという人の実像を始めて知ることになった」と書いている。






「この映画によってガスリーのイメージはけっこう強烈に世間に定着してしまったし、僕も映画を見てからはおおむねそこから得た知識をもって彼の音楽を聴いてきたような気がする。でも本当のガスリーという人物像は、そしてまた彼のたどった生身の人生は、映画の中で描かれていたものとは結構違っている。真相はより複雑で、よりダークで、それだけに奥行きが深い。映画には描かれなかったそのような真実の部分を、この本は新しい資料を駆使して、ぐいぐいとリアルに描いている」(pp.245-246 引用は単行本から)

どうです、読みたくなったでしょ。でも春樹はこんなことを付け加えている。「翻訳されて広く読まれるといいと思うのだが、ウディー・ガスリーは日本ではそれほど一般的な人気がないのでむずかしいかもしれない」。

この言葉の通り翻訳はまだ出ていないのであります。
ボブ・ディランやブルース・スプリングスティーンが強い影響を受けていることはよく知られているし、ディランやボスのファンは日本にも多いのだからもっと注目されていいと思うんだけどなあ(とか言っちゃって手前が実は『わが心のふるさと』も見ていないようなザマなのだけど)。
皮肉というかなんというか、今の日本ではウディ・ガスリーという存在や彼の歌はより心に響くことになるんじゃないかな。

「言うまでもないことだが、音楽にはいろんな機能があり、いろんな目的があり、いろんな楽しみ方がある。どれが優れていて、どれが劣っているというのでもない。しかしウディー・ガスリーが人生をかけてしっかりと守りぬいたような音楽のあり方は、いつの時代にあっても、我々が敬意を持って大事にしていかなくてはならないもののひとつであるだろう。」(p.273)







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佐藤太郎(仮)

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