味方の敵、敵の敵、説得



僕は原発再稼動問題で話題を振りまく橋下が「脱原発」だなんてことは全く思っていない。橋下の「恫喝」って原発推進派が繰り返してきたことそのままではないか。要するに再稼動する/しない、停電起こる/起こらないの四つの升目すべてにコインを置こうとしているだけのようにしか映らない。

なんてことを思っていたのだが、その橋下の「ブレーン」である古賀茂明の発言が話題になっていた。
古賀が注目を浴びだしたころから、彼を持ち上げている人たちのことが気持ち悪くてその発言というものを追っていないもので(橋下のブレーンになったというのを聞いて「やっぱりね」と思った程度)、古賀が原発に対してどういうスタンスなのかというのはよく知らない。
ただこの古賀の発言に対する反応というのは予想できて、案の定「これだから反(脱)原発とか言ってる奴は」というものが多かったのではないだろうか。
この発言自体は主観的妄想で根拠があってのことではなく、批判されてしかるべきものだと思っている。


福島第一原発の事故以来なんだかなあと思ってしまうのが、原発に対して批判的な人が(反でも脱でもいいけど)内向きの姿勢から抜け出せないということだ。にわか仕立ての人たちが大量に「参入」したことでこの傾向というのはより強まってしまったのかもしれない。

僕自身はもともとはイエスかノーかで訊かれたらノーと答えるという程度の「ヌルい反原発」という感じだったが、さすがにあの事故以来できるだけ速やかに日本の全原発を廃炉にすべきだと思った。この状況でも未だに原発を日本に置き続けることを積極的に擁護する人が相当数いることにショックも受けている(人口が密集している地震国じゃ無理でしょ。だいたい放射性廃棄物の問題にはいつまで目を閉ざしておく気なのか)。

同時に、一部の反原発の人の発言というのにも結構ショックを受けた。
反原発活動をしている人に「イタい人」がいることは否定しない。ショックを受けたのはそういった人に対してではなく、理知的だと思っていた人の発言に対してである。
原発を必死に擁護しようとしている人に対して感情的になってしまうというのはわからなくもないが、必ずしも積極的に擁護しているわけではない人に対しても罵声を浴びせていたり(ネット越しとはいえ)、それを容認するのを度々目にする。

反原発派の事実誤認や恣意的な数字の使い方をばかりを指摘する人に対して、「そういうことをする前に行政や電力会社の嘘や怠慢を批判する方にリソースをさきなさいよ」という気になるのはわからなくはない。なまじ「中立」を「装う」だけ一層たちが悪いと映ってしまうのかもしれない。
感情のレベルではそうなのだが、現実に世論を大きく反原発へ向けようと思えば、(内心ムカついていようとも)そういった「自称中立」を「こちら側」に引き寄せる必要があるのではないだろうか。

ショックを受けたというのは、当然そういったことをわかっていると思われた人が、反感を買って「あちら側」へ押しやってしまうようなことをわざわざ口にしてしまうということにだ。
「あいつは中立を装っているインチキ」といえばすでに「こちら側」の人に対しては受けはいいのかもしれないが、「中立」の人たちからすれば「話しても無駄な相手」と切り捨てられるだけなのではないだろうか。
自分たちに対して懐疑的な人たちをどう説得していくかという発想があると思われた人が、実際にはそういった発想が欠如しているとしか思えないような発言をしてしまっているのはなんとも残念なことである。

こういった「理知的」な人たちは、上杉隆や武田邦彦などに釣られたりはしないのだが、しかし積極的に批判もしない傾向にあるように思える。
「反原発とか言ってる連中はイタい奴ばかり」と言われないためにも、明確なデマに関してはきちんと批判をしていくことこそが「説得」の一つの手段であると思うのだが、どうもそこについて同意を得るのは難しいのかもしれない。
「自称中立」、あるいはデマを流す人たちに対して、「味方の敵は敵」、「敵の敵は味方(とまではいかなくとも大目に見る)」という分類に基づいての思考をしている限り、信頼を醸成するのは難しいと思うのだけれど。


もっとも「内向き」で相手を説得する気がないという点では原発推進派(再稼動派)も相変わらずであるが、僕からすれば悪質度合いはこちらの方が圧倒的に上である。

再稼動問題でも、わざわざ「イタい人」の発言を拾ってきては「火力発電所はメンテがいらないとでも思ってるのかよw、反原発なんてこんな連中の集まりだろ」とうようなこと言って悦にいっている人がいる。
こういう人を見ていて腹が立つのは、震災以前に福島第一原発の危険性を指摘する人がいたにも関わらず、それを黙殺した結果あの事故が起こったということをきれいさっぱり忘れていることだ。「反原発なんて言うのはイタい人だけ」というレッテルを貼ることで、やるべきことをおろそかにしてきたことは記憶から消えてしまったのか。
「女川原発は地震と津波を受けても大きな事故に至らなかった」のはそうなんだけれど、では福島第一原発をああさせてしまったものはなんだったのかということに対する真摯な反省がない人というのは本当に恐ろしい。
原発が本当に必要だと考えているのなら、反原発派を嘲笑う前に、失墜しきっている信頼をさらに穴まで掘って埋めるようなことをしている行政や電力会社にこそまず厳しい目を向けるべきだろう。それこそが有効な説得の姿勢なのではないか。

事故直後は数年間の限定的な運転継続には必ずしも反対ではなかったのだが、このように嘲笑にあけくれている人を見ると、やはり原発なんぞ動かすべきではないという思いが強くなってしまうのですがね。


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佐藤太郎(仮)

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