スパゲティとスプーン

『彼奴は顔役だ!』



原題はThe Roaring Twenties。第一次大戦後から大恐慌あたりのアメリカのある一断面というものがよくわかるものとなっている。フィッツジェラルドは『グレート・ギャツビー』にて、ギャッツ/ギャツビーがいかにしてその富を築いたのかについては、ほのめかしながらも具体的に描写することはなかった(ロバート・レッドフォード主演のやつはずっと昔に流し見ただけなのでどんなんだったか忘れてしまった)。今度またリメイクされる『グレート・ギャツビー』においてギャッツ/ギャツビーがどのように描かれるのかはわからないが、20年代のアメリカの雰囲気を知るうえでの予習としてもこの作品はいいかもしれない。


さて、スパゲティを食べるのにフォークに加えてスプーンを使うのが一時期日本では「正式なマナー」とされてしまったことは伊丹十三監督の『タンポポ』でもネタにされていた。これがどこからやって来たのかについては、イタリアで子どもが使っているのを見て誤って伝わった等諸説あるが、その中の一つがアメリカ経由で伝わったというものだ。
この作品にはブラウンという密造酒業者が出てくるが、その男がミートソースらしきものにチーズをどさっとのせて、そしてフォークとスプーンを使って(!)スパゲティを食べる場面があった。この作品によって日本人が「スパゲティってああやって食べるんだ」と思ったのかどうかはわからないが、少なくともアメリカでは公開の1939年にはああやってミートソースを食べる人がいてもそう違和感はなかったということなのかもしれない。

特典映像を見ていたら、このブラウンを演じたPaul Kellyは役も荒っぽいものが多いが当人も荒っぽく、殺人罪で捕まったこともあるなんて話があった。ウィキペディアを見てみたら(こちら)、喧嘩の後に相手が死亡したということで、manslaughterで25ヶ月間服役しているとあった。


その他気になったことといえば、ジェームズ・キャグニー演じるエディは第一次大戦のヨーロッパ戦線から復員してきても約束されていた仕事に復帰することはできず、帰還兵がずいぶん苦労したことが描かれている。ここらへんは無知なもので史実としてどうであったのかはよくわからないのだが、ヴェトナム戦争での帰還兵も帰国時に歓迎されないばかりか罵倒までされたことでトラウマがさらに深まったということが言われるが、こういうのって第一次大戦後にもあったのだろうか。

そのエディはヨーロッパでの従軍中にある女性と文通していて、帰国後に思うようにいかずにいたもので気晴らしを兼ねて親友と一緒にその女性に会いにいくのだが、実際に顔を合わせると手紙に同封されていた写真は演劇祭の時に撮った思いっきり化粧をして着飾ったもので、その女性はまだ高校生でがっくりという場面があるのだけれど、「あこがれの兵隊さん」なんて高校生の女の子から言われることってがっくりするところなのかなあ……あ、いや、なんでもないです。もっともその後のエディの行動を見ると、実はがっくりなんてきてなかったんじゃないのかという疑惑も湧くのではあるのですが。

それにしても大スターになる直前のハンフリー・ボガードが脇役&悪役で出演しているのだが、これもどうにも不思議な感じがしてしまうものであります。




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