『ブロンソン』

『ブロンソン』

ニコラス・ウィンディング・レフン監督、トム・ハーディ主演の2008年の作品。





有名になりたい。しかし歌はダメ、演技力もない。ではどうすれば……。という肥大していく欲求を暴力によってでしか表すことができない男。実在の「イギリスで最も暴力的な囚人」である「チャールズ・ブロンソン」(詳しくはウィキペディアをどうぞ)をモデルにしている。

デヴィッド・リンチとキューブリックをベースに俗悪B級風味をふりかけたようなとでもいえばいいのだろうか。『ドライヴ』においてもそうなのだけれど、レフンの持ち味であり魅力は絶妙な微妙さ/微妙という絶妙さというところか。この作品にしてもそうなのだけれど、こういう「ポップな前衛感覚」とでもいった感じは一歩間違えるとどうしようもなく鼻持ちならなくなってしまう危険性があるのだが、いかにも「とんがったインディ作品」然としつつも、同時にそのようなナルシスティックな感覚に対して批評的距離感というのも持ち合わせているような感じもする。微妙な、危うい場所を歩いているということに自覚的で、しかもそこで自分が作品を御することができるのだという自信のようなものも窺える。そのもっともわかりやすい例が『ブロンソン』においても『ドライヴ』においても使われる80年代テイストのエレクトロ・ポップだろう(『ブロンソン』ではニュー・オーダーなんかも使われているので単なる「テイスト」ではないし、そこもまた「微妙な絶妙さ/絶妙な微妙さ」という感じである)。

個人的には『ドライヴ』の方が好きであったが、『ドライヴ』より『ブロンソン』という声も聞く。『ドライヴ』もクセのある作品だけれども、『ブロンソン』と比べると雑多な要素が後退してきれいにまとめすぎたと感じるのかもしれない。

ライアン・ゴズリングは『ブロンソン』を見てレフンを『ドライヴ』の監督に起用したようだが、トム・ハーディもこの作品によって一躍注目を集め、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』や『ダークナイト・ライジング』に起用されることになる。
『ブロンソン』を見ていて、一瞬レフィンもハーディも『ダークナイト』のヒース・レジャー演じるジョーカーを意識していたんじゃないかと思ってしまったのだが、『ダークナイト』が2008年7月、『ブロンソン』が2008年10月公開なのでさすがにそれはないか。
とにかくトム・ハーディの怪演はヒース・レジャーによるジョーカーを連想せずにはいられないところもあり、ヒース・レジャー演じるジョーカーを喪ったノーランがトム・ハーディに目をつけたのは当然というところか。しかしこう考えると『ダークナイト・ライジング』のベインはなぜああなってしまったのかという気分にもなってしまうのだが。



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