『パンチ・ザ・クロック』から30年

だからどうなんだと言われればそれまでだけど、ふと気づいたのだけれどエルヴィス・コステロの『パンチ・ザ・クロック』って2030年前のちょうど今頃に発売されていたのですね(追記:1983年の発売なので30年前ですよね。なんでこんな間違いしたのやら)。

時恰もサッチャー政権に「フォークランド紛争」ということで、「シップビルディング」のようなストレートな反戦歌やサッチャー批判もある。




コステロはライナーノーツで当時についてこう書いている。「1979年から1983年にかけて奇妙なことが起きた。イギリス政府はそれまでの、税金を間違ったことに使う人をイラつかせる悪評まみれの組織から、自分たちの目的に奉仕しなかったり資することのないような人のこと嘲る、敵対的な政体へと変貌した」。
そして「フォークランド紛争」についてはこう書く。「これが「戦争」と呼ばれたことなんてなかったんだ。常に「フォークランド危機」と、後には「フォークランド紛争」といい続けてきたんだ」。(「紛争」に批判的な人はこのあたりのことをよく指摘している。ということでここでは「フォークランド紛争」をいちいち鍵括弧に入れた)。
また「インポスター」名義で1983年の選挙直前に限定発売したシングル「ピルズ・アンド・ソープ」をめぐって政治的問題になることを怖れたBBCから圧力を受けたことなどにも触れている(なお僕が持っているCDは95年発売のものなので他の版にこのライナーが収録されているのかはわかりません)。


ただもちろんそこはコステロのこと、歌詞は相当にひねってある一筋縄ではいかないものが多い。

このアルバムで一番有名なのは「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」になるのかな。



個人的にはCDのボーナストラックに入ってるこのライヴバージョンが好きだな。




それにしてもこの歌詞をどう解釈すればいいのかというのは結構意見が割れるのではないだろうか。
初めて聴いた(というか読んだ)時には恋の鞘当的なものかとも思ったのだが、そのうちに別れた彼女を諦めきれないという話のような気もしてきたりもした。今ではそもそもこいつは本当に彼女と付き合っていたのかという疑問すら抱いている。一度こう感じるともうストーカーの歌としか思えなくなってくる。
例えばこんな箇所はどうだろうか。「君の歩き方 / 君の話し方に、僕にキスしようとしたり笑ったり / これは四つか五つのパラグラフで / 君のお愛想やキツい一言は全部 / 僕のこの引用符の中に閉じ込めたよ」

彼女とのやりとりってお前の妄想とちゃうんかいな、というのはあながち無理な想像ではないと思うのです。そんな男が「僕はうっとりと君を見つめながら / 毎日毎日、毎日この本を書いているんだ」なんてのはゾっとするお話のような。
また「she」という代名詞は使われていないので(「you」だけ)そもそも男と女の話とは限らないという解釈も成立しないことはない。
もっともコステロはこの曲をツアーの合間に10分で書き飛ばしたとしているので、適当に歌詞つけただけなんだから、んなこと知ったことかという感じかもしれませんが。

さらには「僕にはペンと電動タイプライターがあれば……」というところもあるんだけど、電動タイプライターか。

「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」の次の曲の「ザ・グレイテスト・シング」には「ソニーの製品を片付けたりなんか絶対しない/ だってこいつはステータスだから」なんてところがある。




この30年後、サッチャーは死んだ。ソニーは……



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佐藤太郎(仮)

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