わからないなりに経済本

わからないなりに経済本なんぞを読んでみている。

まずは松尾匡著『不況は人災です!』




個人的に経済学者の中で一番僕と近い人なんじゃないかと思うのが松尾氏。
と、言いつつ実は氏の本を読むのはこれが始めてだったりする。

ざっくり言うとリフレ派経済学者による入門的解説書。
「リフレ」とは何かというと
金融政策によってマイルドなインフレを起こすことによって
安定した経済成長を実現することである(と思う)。

リフレ派と言われる人たちの論敵の一つが「清算主義」とされる人々だ。
本書40ページで紹介される小泉元首相の発言は
(「景気が回復したら改革する意欲がなくなってしまう」)
典型的な清算主義的発想である。
ついでに付け足すと仙石官房長官も明らかに清算主義者的発想をする人物である。
その他現内閣や民主党の主要ポストは清算主義者かそれに親和的な人が占めている。

まぁこの部分に関しては特に目新しさというのはない。
他のリフレ派の人の本を読んでもそこらへんは書いてある。
本書の特徴は松尾氏は「左」の人に向けても書いているということ。
リフレ派にいろいろ論敵はいるけれども基本的に狭義の左派はスルーするだけである。

松尾氏を広義の意味での左派と位置づけしても構わないだろう。
そして左がかった人にありがちなドクサ(臆見)を
解くことが本書の目的の一つであろう。

例えば財政支出といえば「バラマキ」「利権」といって毛嫌いする。
金融政策は「バブルを招く」「マネーゲームに現を抜かす人を超え太らせる」。
このような意見が結果として何を招くだろうか。
それは清算主義的な破滅世界と言っていいだろう。
(ちなみに元?左翼に仙石氏と右派的な前原氏との奇妙な親和性は
ここら辺に由来するのだろう。まぁあの二人はそれだけでは片付けられないが)

本書では社民党や共産党が日銀のゼロ金利解除を評価していることが引かれている。
少し考えれば分かることだが、そもそも金利が上がっておいしい思いが
できる人などよほどの大金持ちだけである。
ゼロ金利解除によって景気が悪化してどうなったか。
もちろん苦しむのは彼らが味方しているはずの庶民である。

「反資本主義」というだけでは考えられないこのような奇怪な反応こそが
まさにドクサである。
ヨーロッパの左翼系の人々は完全雇用を政策の主要部分にかかげるが
日本の「左翼」政党はこれには極めて鈍感だ。
口の上ではそう言おうがリアリスティックな政策を
これらの政党に期待する人がいるだろうか?

「バブルの頃の日本人は醜かった。これからは成長ではなく成熟の時代だ」
などとのたまう人がいるが、恐らくこのような発言をする人、あるいは支持する人とは
頭の中が未だにバブルなのだろう。
左派的な再分配政策と経済成長は矛盾しないどころか、
それを実行するためには経済成長こそが必要なのだ。
そのことを日本は失われた10年、いや20年で学んだはずなのだが
バブリーな「左派」の人たちには届かないらしい。
21ページに「この国を縛る「通念」を覆す」とあるが、
まさにこのドクサこそを打ち破らねばならない。

リフレ派の人の入門書はいくつもあるが、
自分を「左寄り」だと考えていてリフレ政策にアレルギーを持っている人には
ぜひとも読んでもらいたい。

んでもって片岡剛志著『日本の「失われた20年」』も読んでみた。




こちらはハードですのでどこまで理解できたものやらでありますが。

サブプライム問題からリーマンショックまでの分析。
日本が取ってきた政策、特に90年代後半からの批判的検証。
具体的政策提言のおおまかに三つのパートからなる。
結論だけ引用するとこうなる。

バブル崩壊という金融的ショックの影響から十分に立ち直ることができず、その後マイルドなデフレが持続する中での不十分な回復過程を経て、外需の急減という状況に陥った現在の日本経済において最も必要な経済政策とは、インフレ・ターゲッティングという「政策枠組み」に基づく金融政策を実行に移し、財政・金融を総動員することに尽きるのではなかろうか。(p.395)

今の日本経済を語るには必読書ではないかと。
とにかく政治家全員に読んでほしい。
いや、もっと読んでほしいのはメディア関係者か。
もうとっくに読んどるわい、と言ってほしいものだが……

岩田規久男著『日本銀行は信用できるか』 も前に読んだけど
日銀のこのかたくなさはなんなのか、とも思うんだけど、
それよりもこの日銀を批判できないメディアとはほんとなんなのだろうか。
特別なことをしろ、というのではなく当たり前のことをせよというだけだと思うんだけど。
もちろんリフレ派への批判というのもいろいろあろうが
そもそも日銀を批判する意見自体が新聞・テレビにはほとんど載らない。
円高の問題にしてもあまりに偏った(日銀寄りの)情報ばかりのような。


などと偉そうなこと言っとりますが上念氏の日銀本はまだ読んでなかったりして。
そのうち田中氏の本と合わせて読んでみますかね。




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佐藤太郎(仮)

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