『袋小路』

『袋小路』

ロマン・ポランスキーの1966年の作品。スラップスティック調のブラックコメディといったところになろうか。




住む冴えない中年男ジョージと奔放な若く美しい妻テレサが住む孤島の古城に、傷を負った粗野な逃亡者リチャードが闖入してくる。
この作品を精神分析的解釈の誘惑にかられないほうが無理というものだろう。途中でジョージはこの城は「砦」だと苦し紛れに評するが、まさに自意識から身を守ろうとする試みを悪夢的に映像化したものだともとれる。島は潮の干満によって陸続きとなったり孤立したりするのだが、潮の流れに左右されるところから生理を連想することもできるだろう。妻に女装させられるのは不能への恐怖であり、去勢不安でもあろう。また(おそらくはかつての妻に去られた経験から)テレサの不貞を感じとりつつもそれを問いつめることもできない。マッチョなリチャードはジョージにとって願望の表れでもある。しかしこの願望が充足されることがないことは誰よりもジョージ自身がわかっている。最後は英雄願望と被害妄想とが混濁し、さらにみじめになってかつての妻の名を叫びながら潮に侵食される小さな岩礁の上で泣き叫ぶことしかできなくなる。


前作の『反撥』から一転して軽いタッチであるが、次作となる『吸血鬼』にしてもそうだが、こういった毒の効いたスラップスティックもさらっと撮れるところがポランスキーのすごいところ。
テレサを演じるはポランスキーの前作『反撥』の主演カトリーヌ・ドヌーヴの姉のフランソワーズ・ドルレアックだが、この作品の翌年に交通事故で25歳の若さで亡くなってしまう。この作品では彼女のコケティッシュな魅力を炸裂させているだけに痛ましい。



こちらでは姉妹競演している。



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佐藤太郎(仮)

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