反「経済成長」という病

チャップリンは『ライムライト』の中でこう言った。
「人生に必要なのは勇気、想像力……そして少しばかりのお金だ」
あるいは字幕に導かれたこちらの方が有名かもしれない。
「人生に必要なのは愛と勇気と少しばかりのお金」
実際のセリフはこう。
Life can be wonderful if you're not afraid of it.
All it needs is courage, imagination. . . . and a little dough.





けだしの名言だと思う。
なぜこんなことを書いているのかといえば、
「マル激」の無料放送を聞いていたら気になるところがあったためだ。
ここから。
part1の20分くらいからだが、またぞろ「経済成長」批判というのが
始まった。
そして10月31日の朝日新聞の書評欄に平川克美氏が登場し、
氏は「経済成長」批判をしている。

僕は神保哲生氏も宮台真司氏も平川氏のことも嫌いなわけではない。
尊敬する仕事もなさっていると思うし、楽しませてももらっている。
ただまぁこの手の話が始まるとなんとも脱力という感じで。

「経済成長すれば日本の諸問題は全て解決だ」なんて言う人間はもちろん愚かだ。
一方で、現実的な政策課題の多くが経済成長なくしては解決しない。
どうもこの部分を勘違いされている御仁が、とりわけ一定以上の年齢の方に多い。

おそらくこのような人たちのイメージするところの「経済成長」とは、
高度成長期のような煙突からもうもうと煙がたちこめる、だとか
アメリカ的常軌を逸した弱肉強食社会なのだろう。

ただ考えてほしいが、税収の落ち込みに歯止めがかからず、
失業率が高止まりしたままで彼らが好む「成熟した社会」などというものが
築けるのだろうか。

松尾匡氏の『不況は人災です!』の感想でも書いたが、
「成熟」するためには(ある程度の)「成長」が必要なのである。

現在の、とりわけ「若者問題」とされるものの少なからぬ部分が、
実は不況が影響しているとも考えられる。

例をあげると最近とみに海外の大学への留学生が減ったことを嘆く言説が
散見されるが、だって留学ってカネかかるじゃん。
帰国しても就職の保障なんてないわけだし。
リスクを減らしたいというのは不安定な雇用状況では
当然の選択でしょうに。

平川氏の記事にはこうある。
「成長戦略がないことではない、成長しなくてもやっていけるための戦略がないことが問題なのだ」

一見いいこと言っているように見えるが
「成長しなくてもやっていける戦略」などいったいどこにあるのだろうか。
まともな答えを提供してくれた例を聞いたことがない。
トンデモ系ならいくらでもあるんだが……

ある企業の経営者が
「これからは儲け至上主義はいかん。企業は倫理的になり
利益は社員に還元し、苦しくても雇用を守っていこう」
と決意したとする。
すばらしいことだと思うし応援したい。
しかしこの経営者が政治家、あるいはなにかしらの審議会の委員などになり、
「これからは成長の時代ではない。国はそんなことを考えることなどやめるべきだ」
などと発言しようものなら断固として反対する。
経営者はしばしミクロ的経験則をマクロにあてはめようとして
トンデモに陥るというようなことを誰かが言っていた(失念)。
ここらへんの誤解というものを解いていかねば
それこそ成長できなのだろう。

もちろん毎年GDP7,8パーセントの成長率などを
望んでいるのではないが(そんなこと不可能だし)
この20年間、完全に日本がジリ貧になっていることを
ある世代以上の方々は未だに実感を持って理解していないのだろうなぁと
思わせられたのでしたとさ。

ちなみに平川氏の『経済成長という病』は未読なので
これについては感想は言えません…





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佐藤太郎(仮)

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