『MONKEY vol.2』

『MONKEY vol.2』

「柴田元幸責任編集」による文芸誌第二号。




今号で出色だったのはやはりスティーヴン・ミルハウザーの「息子たちと母たち」。基本的にはリアリズムで息子と母の痛ましい光景が描かれるのであるが、タイトルの息子と母が複数形になっているように、次第に寓話性を帯びてくるような感覚にもなっていく。やはりミルハウザーおそるべしという見事な短編。

村上春樹の「シェエラザード」は『恋しくて』収録の「恋するザムザ」に続いての「古典リメーク村上版」。「恋するザムザ」はどことなく村上の80年代中盤あたりのリラックスした雰囲気を思わせるところがあったが、「シェエラザード」は『レキシントンの幽霊』あたりに収録されていてもおかしくない、90年代前半の頃の短編の雰囲気がなくもないかも。名前の付け方なんかは大江健三郎化しつつある(?)最近のものでもあるけど。このシリーズ(なのかどうかはわからないが)はどことなく懐かしい手触りの感じでいくのかな。




それからJ・ロバート・レノンの小品もなかなか良かったが、「まさかと思いましたがJ.Robert LennonのJは本当にJohnの略のようです。そしてこのジョン・R・レノン、ミュージシャンでもある」のだそうだ。

J・ロバート・レノンは1970年生まれらしいのでちょうどビートルズが解散した年の生まれだが、当時の親になったLennonさんはよくこういうことをしたのだろうか。そういえば最近ジョン・レノン・マカラーという冗談みたいな名前の若いシンガーがデビューしたが、こちらも本名みたい。ちなみにジョン・レノン・マカラーはキワモノなどではなく、年齢を考えるとびっくりするような出来になっている。しかしまあよくこんな名前付けたものだなあ。もし僕が桑田という名字で子どもができたなら、佳祐という名前は真っ先に候補から外すと思うけど。

J・ロバート・レノンはこんな人。



これがジョン・レノン・マカラー。僕の息子でもおかしくない歳なのに。






アグネス・オーエンズは「ロンドンの大好きな書店London Review Bookshopでの「ジャケ買い」が当たった掘り出し物」とあるが、ホームページを見たら確かに良さそうな書店ですね。


「作家にして編集者のデイヴ・エガーズが開いている教室に集まってくる高校生たちが作っているアンソロジー」である『ベスト・アメリカン非必修読物』(The Best American Nonrequired Reading)にレイ・ブラッドベリが寄せたエッセイも収録されている。亡くなる直前に高校生に向けて口述したものということを頭に置いて読むと感動的なものになっている。

このアンソロジーについても始めて知ったのだが、これは高校生たちが掲載作品を選び、また投票で誰に序文を依頼するかを決めているとのこと。ブラッドベリの他にはベックや『シンプソンズ』のマット・グレイニングなどが序文を書いているそうだ。こういうのを毎年出版まで持っていくところはアメリカらしい。




そして書物の所有が禁止された世界を描いたブラッドベリの『華氏四五一度』にちなんで、書物の内容を記憶する抵抗運動に参加するとしたら何を記憶するかという「華氏四五一度質問」のアンケートもあって、菊地成孔さんなどいろんな人が答えている。ちょっと考えてみたのだけれど、こういうのってなかなか答えづらいのですよね……。「旧約聖書、口語訳ではなく文語訳で」とかかっこつけちゃう誘惑にかられた結果、後になって顔真っ赤にしてふとんかぶって「うぎゃー」と叫びたくなったりとかしそうで。
トリュフォーの映画は観ているんだけど、実は原作は未読なもので、かっこつける前にとりあえずは読んでおかないとね。




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