パティ・スミスと村上春樹

村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の英訳が出るということで、ニューヨーク・タイムズにはパティ・スミスが書評を書いている(Deep Chords: Haruki Murakami’s ‘Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage’


へぇっと思ってしまったのはこの箇所。

On a first reading, “Colorless Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage” seems kin to Murakami’s more minimalist novels “Sputnik Sweetheart” or “Norwegian Wood,” but it does not really fall into that category. Nor is it written with the energetic vibe of “Pinball, 1973” or in the multidimensional vein of his masterpiece, “The Wind-Up Bird Chronicle.” Here and there realism is tinged with the parallel worlds of “1Q84,” particularly through dreams. The novel contains a fragility that can be found in “Kafka on the Shore,” with its infinite regard for music. Hardly a soul writes of the listening and playing of music with such insight and tenderness. We are given a soundtrack: Liszt’s “Le Mal du Pays,” from “Years of Pilgrimage.” A favored interpreter: Lazar Berman. A favored way to listen: vinyl on a turntable.

過去の村上作品との比較や連想を働かせているのだが、この中に『1973年のピンボール』も含まれている。
村上はデビュー作の『風の歌を聴け』と『ピンボール』を習作と見なしていて、この二つの作品は講談社から英訳が出ているものの、クノップフなど英語圏の大手出版社からは刊行されていない。リチャード・パワーズへの都甲幸治氏によるインタビューで初期作品の話題になった時、パワーズは初期二作品の存在自体を知らなかったという話があったが(『文学界』 2007年7月号 「村上春樹の知られざる顔」)、英語圏の読者は読もうと思えば読めるのだがそこいらの書店で気軽に手にできるというわけではないのでこの二作品は見落とされていることも多いのだが、パティは『ピンボール』を読んでいるようだ。

パティ・スミスに会った!日本を歌う”Fuji-san"について訊いた&今は村上春樹に夢中とのこと」は2012年に書かれたものだが、ここでのパティの「自分は子供の頃から常に何かを夢中になって勉強する方で、例えば、今は村上(春樹)に夢中になっているところなの。明けても暮れても村上の本を読んで、村上の夢を見て、村上を読みながら日本酒を飲んでるの!」という発言は大袈裟ではなかったことがわかる。

こちらではパティ自らがBangaのツアーの際に村上春樹を読み込むつもりで、『1Q84』も再読するつもりだと書いている。『ピンボール』もこの頃に読んでいたのだろうか。写真には『スプートニクの恋人』に加えなぜか『ハンガー・ゲーム』も写っているが、これも持っていったのかな……



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