これを出すならついでに……

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』の英訳が刊行されたが、ニューヨーク・タイムズにパティ・スミスが書評を書き、そこで『1973年のピンボール』についても言及があることから、パティが相当に春樹に入れ込んでいるのではないかということはこちらに書いた。

繰返すと、春樹はデビュー作の『風の歌を聴け』と『1973年のピンボール』を習作と見なしていて、講談社インターナショナルからアルフレッド・バーンバウム訳で英訳が刊行されたものの、英語圏の大手出版社から発売されることはなかった。この講談社インターナショナル版はどうあっても手に入らないという代物ではないものの、英語圏では簡単に手にできるわけでもないので、よほど好きな人以外は読んでいないことが多い。

ところがどうやらクノップフから『風の歌を聴け』と『ピンボール』が2015年に刊行されることになった模様。Haruki Murakami's first novel to be retranslated and republished in Englishはガーディアンの記事。

バーンバウム訳ではなくテッド・グーセンによる新訳のようだ。こちらでも触れたように、バーンバウムの翻訳にはファンも多い一方で、正確さなどを考えると意見が分かれることもあるかもしれない。バーンバウム訳は初期の頃の雰囲気に合っていたようにも思うが、『風の歌を聴け』と『ピンボール』のバーンバウム訳は未読なので完全にイメージですが。

『風の歌を聴け』と『ピンボール』は確かに欠点がないわけではない作品ではあるが、『羊をめぐる冒険』を読むのにこの二作をなしに済ますことはできないので、なにはともあれ英語で読んでいる人には刊行されることは喜ばしいことだろう。個人的にもこの三部作には思いいれが深いので、やはりセットで読んでもらいたいだけに勝手にうれしくなる。




『ふしぎな図書館』の英訳ももうすぐ刊行されるし、こうなったら日本でも村上龍との対談本の『ウォーク・ドント・ラン』や川本三郎との『映画をめぐる冒険』あたりも再刊したれと思うが、さすがにこれはないか。『ウォーク・ドント・ラン』は昔古本屋で千五百円で買ったように記憶しているが、『映画をめぐる冒険』は四千円くらいで買ったような。中上健次と村上春樹の対談が収録されている『オン・ザ・ボーダー』も結構したような気がしたが、今はネットでは割と安く手に入るのね。




プロフィール

佐藤太郎(仮)

Author:佐藤太郎(仮)
shopliftersunionあっとhotmail.co.jp

最新記事
月別アーカイブ
カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
カテゴリ
twitter
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR