『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』

『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』



ひと言でいうと『インディ・ジョーンズ』風味の『スター・ウォーズ』といったあたりになるだろうか。いや、むしろ『スター・ウォーズ』風味の『インディ・ジョーンズ』とすべきかもしれない。

『スター・ウォーズ』は黒澤時代劇と並んで西部劇も下敷きにしている。1970年代後半ともなると、「いい白人」と「悪いインディアン」を登場させて勧善懲悪とするかつてのような西部劇は撮れなくなっていた。そこにジョージ・ルーカスは、「スペース・オペラ」の形を取ることで「古き良き」活劇を復活させることに成功したという語り方がよくされる。『インディ・ジョーンズ』もまた痛快な娯楽活劇であるとともに、舞台が地球だけにPC的にはいろいろと問題のある作品にもなっている。


『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』がSFなのかアメコミなのかという二分法には意味がないだろうが、それでもあえてするとマーベルによるスーパーヒーロー作品である。

映画におけるアメコミのシリアス路線の最高傑作がクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』であるとすることに異論は少ないだろう。一方で、ノーラン版バットマンの『ビギンズ』と『ライジング』は傑作とするには躊躇われるどころか、むしろ失敗作としてもいいくらいだろう。それだけ『ダークナイト』は奇跡的といっていいほどうまくバランスが取れた作品であった。

『ライジング』を観て思ったのは、そもそもマスクを被って扮装しているおっさんたちの戦いを描くのに、「シリアス」さを強調することの困難である。よほど注意しない限り嘘っぽさや脇の甘さの印象が強くなるし、とりわけ『ライジング』が隙だらけの作品であるだけに観客は作品世界に没入しにくくなる。

行列に割り込む奴は善か悪かといえばそれは悪なのであるが、だからといってスパナでぶん殴っていいという話にはならない。ましてやマスクを被ったおっさんがそんなことをすれば、周囲はこのおっさんを単なる異常者と考えてしまうことだろう。実はバットマンにもこのようなテーマも内包されているのだが、それをより直接的に描いたのが『スーパー!』であった。
その『スーパー!』の監督のジェームズ・ガンが、娯楽活劇に徹した『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』を撮るというのは、意外なことというよりも必然的であったとするべきなのだろう。

グルートのキャラクターを「人間」でやろうとするとPC的に問題になりかねないが、そこは架空の生命体ということで難を逃れている。とはいえ義足をめぐるロケットの発言はそれこそいかがなものかと眉をひそめる人もいないわけではないだろうが、いわばこの作品全体が様々な意味で「そう固いことはいいっこなしね」というものであることを表しているとすることもできるだろう。
清く正しくなければならない、あるいは大人が「真面目」に見ても恥ずかしくないような作品でなくてはならない、そういった「呪縛」から解き放たれた活劇であり、だから素晴らしいという人もいれば、物足りない、あるいは駄目だという人もいることだろう。

僕は非常に楽しめたし、「楽しむ」という点では特に不満はないものの、では完全に心奪われるというほどだったかというとそこまではいかなかった。これは必ずしもマイナス評価ではなく、そもそもがこういった作品をすでに三十歳を超えたおっさんが見る際に「そこまで」のものを求めるべきなのかということであり、「そこまで」、さらにその向こう側までというのを表層的に追い求めた結果隘路に入り込んだのがノーラン版バットマンであろう。


ハン・ソロを主役にジェダイも登場せずフォースも存在しない『スター・ウォーズ』があったらどうだろうかと考えると、それは面白い作品であることには間違いないであろうが、あそこまで人を惹きつける作品になっただろうかとも思う。
『スター・ウォーズ』を魅力的にしているのは神話からの借用に代表されるように、かつての活劇を復活させると共に普遍的物語世界の構築であり、なおかつSF的設定、及びガジェット的魅力にもとんでいるところにあるだろう。そのあたりで比較すると『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』は話の展開も基本設定も「浅い」という印象は否めない。

確かにルーカスへのオマージュはこめられていることは間違いないのだろうが(懐かしい音楽を使うところも『アメリカン・グラフィティ』への目配せとすることもできるのかもしれない)、一部で言われる『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』を『スター・ウォーズ』に重ねることはやや不幸なミスリードにつながりかねず(つまらなくはなかったけれどハードル上げすぎたよ、という声をかなり聞いた)、むしろ良くも悪くも『インディ・ジョーンズ』的作品であるとして、その「軽さ」や「浅さ」も含めて、肩の力を抜いたほうが楽しめるのではないだろうか。






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佐藤太郎(仮)

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