『ケインズ説得論集』

『ケインズ説得論集』をパラパラと。




「ケインズ主義」、より正確に言うなら「俗流ケインズ主義」は
数年前にはすっかり葬り去られたもの、という印象を持たれたかもしれない。
それは「財政赤字」「不必要な公共工事」「バラマキ」などといった
負の言葉と共に語られがちであった。
しかしここ数年はケインズを見直す機運というのが高まり、
また新ケインズ主義とカテゴライズされる学者も
活躍するようになってきている。

しばし言われることだが、ケインズ自身は己の「学説」に
固執することはなかった。
彼は実践家であり、その時々によって最も適切と考えられる
政策を提言した。
しかし彼の主張は中々受け入れられることはなく、
自身を「カッサンドラの予言」
(正しいことを言っても信じてもらえない)に自嘲気味になぞらえたりもした。

ケインズの様々な提言が受け入れられていれば
世界は今とは大分形を変えていたことだろう
(ベルサイユ条約について、IMFや世界銀行の役割と形態など)。

本書は1919年から1933年に書かれた時論集である。
もちろんここで語られたことは今ではすっかり古びてしまって……いない!
むしろ今こそ読むべき書なのである……
と、経済学的教養のない人間が大見得を切ってみる。

いくつか引用してみよう。

ものが安くなったのは良いことのはずだと思われるかもしれません。禁欲を旨とする人の一部はそう確信しているのですから。生産者が損をしている分、消費者が得をしているというのがその理由です。しかし、この見方は間違っています。わたしたちの大部分は働いて収入を得ているわけですが、そういう人が消費できるのは、働いて生産できる間だけです。ですから、生産を妨げる要因があれば、消費をかならず妨げられます。(p.57)

インフルエンザが流行したときに命を落とすのは、もともと心臓が弱っていた人だからという理由で、インフルエンザの影響は「良い面ばかりだ」とか、大量の死者がでたのはメキシコ湾流のためでないように、インフルエンザのためではないなどと発言するのは、許されるものではない。(p.123)

やはり今求められているのはケインズ的な知性、
つまりリアリスティックでプラグマティックな知性なのである。




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佐藤太郎(仮)

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