ユリイカ!

平石貴樹著『だれもがポオを愛していた』




エドガー・アラン・ポオゆかりの地ボルティモア。アッシャー家ならぬ日系人一家アシヤ家が爆破される事件が(アシヤ家の崩壊!)。そしてポオの作品を模したような事件がさらに起こる……

ミステリーは嫌いじゃないんだけど(このジャンルの愛好者のことを考えると気軽に好きとは言えない)積極的にあさるってほどでもなく……ということで1985年発売のこの小説を今さら手にとってみた。

平石貴樹氏はアメリカ文学の研究者で現在は東大教授。最近『アメリカ文学史』も出しましたね(そのうち読みます)。

ナゲット・マクドナルド警部補の手記を登場人物でもあるS・W**教授が訳した……などという構成はエーコの『薔薇の名前』を連想する人がいるかもしれません。あるいはヴァン・ダイン風の衒学的御託が並ぶよなものを。
しかしこの小説は創元推理文庫版の有栖川有栖氏の解説にあるようにエラリー・クイーン流の本格ミステリーとなっています(読者への挑戦!)。

もちろん最後にある興味深いポオの『アッシャー家の崩壊』論などポオ愛好家ならさらに楽しめるものでもあります。

僕は個人的にはミステリーにたいして隙のない緻密な推理というものは求めていない(と言ってこの本の推理に瑕疵があるということではありませんよ)。
僕が好きになるポイントといえばなんといっても探偵やその周囲の人物のキャラにある。
これはホームズがその典型であるが、笠井潔氏の「矢吹駆シリーズ」も好きなんだけど、仮に駆が経済学を学ぶあっけらかんとした好青年でナディア・モガール嬢が思慮深く慎重で控えめであったなら、同じ推理でもその魅力は半減してしまうだろう。
本作では事件に挑む探偵はニッキこと更科丹希(さらしなにき)!大学卒なのにローティーンに見られるなど宮崎あおいのためにあるようなもの?

しかし今回書きたかったのはこんなことではないのです。
そう、ユリイカ!(われ発見せり)と叫んでしまった部分があったのです。

本作にケンイチ・アシヤという日本人が出てきます。
この人物は英語が話せず、日本語がほとんどできない通訳のせいで38歳にされてしまうが実は昭和38年生まれの間違い。
そしてこのケンイチがアメリカまでやってくるきっかけを作った美術商の名は……センゴク!
38!センゴク!う~むsengoku38の38とはなんぞや、との謎がありましたが、彼はミステリーマニアでこの作品から取ったというのが真相だったのです!……なんてね。



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