『悪魔と博覧会』

エリック・ラーソン著『悪魔と博覧会』




ピンチョンの『逆光』に木原善彦氏が訳者あとがきでいくつか参考文献をあげていてくれた。
(『逆光』についてはここ。参考文献についてはここ。)
そんなわけで読んでみました。

時は19世紀末アメリカ、エッフェル塔で名をはせたパリに続き、万博がシカゴで開かれることになった。
建設を取り仕切るは建築家ダニエル・バーナム。
そしてその頃シカゴ近郊へやって来たハンサムで感じのいいH・H・ホームズと名乗る医師の周りでは女性が次々と姿を消し始める……

山っ気の多い青年時代からシカゴを代表する建築家へと上り詰めたバーナムの困難に満ちた万博建設記とシリアルキラー(何人殺害したのか、正確な数すらわからない)ホームズことマジェットの交差する人生を描いた書。
もしこの話を予備知識なしで読み始めたなら、これは手の込んだ小説だと思ったことだろう。しかし「本書は、二人の男とこのイベントをめぐる物語である。ただし、物語を始める前に一つだけいっておきたい。この本で語られる出来事は実に風変わりで、ときには身の毛がよだつほど恐ろしいものかもしれない。だが、これはフィクションではない」のである。

なんといっても「悪魔」ホームズなのである。その後現実に、そして小説や映画で模倣されるシリアルキラーのさきがけといってもいいのかもしれない。
もちろんこの事件のほんの数年前にロンドンでは切り裂きジャック事件があるのだが、それが可愛く見えてしまうほどである。
寸借詐欺を繰り返しながら、次から次へと女性を騙し、万博客目当てのホテルを作りそこで……
「ガス」を使うというのも役50年後に起こる恐ろしいことを連想させずにはおれません。

この本の面白さをさらに高めるのは多彩な脇役たち(哀れなるプレンターガストが引き起こす事件!)。
そして端役も豪華だ。ウォルト・ディズニーの父親は万博建設に従事していたし、そのほかセオドア・ドライザーやらウッドロー・ウィルソンやらいろいろと出てきます。
そうそうバーナムといえば『バーナム博物館』のあっちのバーナムもちょろっとだけ。

『逆光』との絡みでいえばこの時代のシカゴの雰囲気、そしてアメリカのある種のエートスのようなものを掴むのにも参考になるでしょう。労働者のおかれた状況とかこの時代アメリカでは「探偵」が何をしていたのかとか。

ちなみにディカプリオが映画化権を取った?ようだけどホームズやんのかね。
ウィキペディアのリンク貼っとく、この本についてはここ。ホームズはここ。バーナムはここ


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佐藤太郎(仮)

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