MONKET vol.10

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特集は「映画を夢見て」。

ポール・オースターの回想的エッセイReport from The Interiorからの「映画に打たれて」では映画『縮みゆく人間』が取り上げられており、この映画を見たオースター少年は哲学的ともいえるある感慨に達する。




カズオ・イシグロは若き日に二本のドラマの脚本を書いており、そのうちの一本「ザ・グルメ」が訳されている。イシグロらしい作品というよりは名前を出されないとそうとは気付かないような内容であるが、それでいてところどころにイシグロらしさやその原型というのも見え隠れするようでもある。イシグロはこの脚本を書いた後に出る『日の名残り』(ちなみに脚本を書いたもう一本のドラマ、「アーサー・J・メイソンの横顔」の設定は『日の名残り』を連想させる老執事が登場するものだそうだ)以降は、紛れもないイシグロ印の作品でありつつもその設定は自在な冒険を繰り広げているように、こうした物語作家としての間口の広さもイシグロの魅力だろう。

また西川美和による、「翻訳家のS氏」から依頼を受けたという設定の映画監督による映画監督を素材にした短篇とインタビューも収録されている。


特集で最も楽しいのは、ショーン・ハーターによる「別宇宙映画ポスター」だ。スティーヴ・エリクソンが編集長を務めていた文芸誌Black Clock第15号に掲載された映画のフェイクポスター集であるが、小ネタ満載で、「クソコラ」レベルの、でも思わず笑ってしまう(「エルヴィス対クトゥルフ」、「用心棒ゴジラ」、黒澤明監督、御船敏郎主演の『2001年宇宙の旅』は東宝製作!)ものからすぐにでも映画館に駆け込みたくなるようなものまで多士済々である。オーソン・ウェルズ監督の『闇の奥」(実際にウェルズはこれを作りたかったのだが断念している)なんて何としても見たいし、『カサブランカ』では主演がレーガンに入れ替わっていることで不気味な雰囲気を醸しだしている。テレンス・スタンプ主演の「007」も見てみたい。ジェーン・フォンダ主演の「スター・ウォーズ」シリーズ、『レディ・ヴェーダー』もなかなかのものだが、なんといっても一番はマリリン・モンローとジョン・ウェイン主演の『キル・ビル』。モンローの写真は数多くあれど、なぜにこの格好と表情で日本刀を持っているのかと、興味津々になってしまう。

こういうのって技術的には難しくないだけにセンスがストレートに出るもので、これだけ楽しませてくれたハーターの作品をもっと見たかったのだが、2013年に40歳で死去している。残念。

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佐藤太郎(仮)

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