危険な奴ら

小沢一郎が政倫審云々なんてニュースがあったのでまた政治与太話をば。

この「小沢問題」については今更語るまでもないことだ、と言いたいところだけど日本のメディアではそうはいかないようで。

ここ数年の一連の「小沢疑惑」の数々は完全に検察の見込み捜査とその失敗ということで結論が出ているといっていいだろう。ただ小沢叩きが何よりも生きがいの記者クラブメディアはそれを絶対に認めたくはないのだろうが。

ではこの政倫審云々はいったいなんなんのか。
もちろん単なる「政局」にすぎない。要は問責が可決されている仙石の首を守るために小沢を人身御供にして乗り切ろうということであろう。ついでにメディアは小沢叩きが大好きなのでうまくいけば支持率も上がるかもしれない、と。

もちろん「身内」を売り渡して保身を図るなどというのは精神においてなんともゲスなことである。
これが野党の中の権力闘争であれば呆れて勝手におやんなさい、というところだ。しかし忘れてはならないのは仙石とそのお仲間は現在は与党の中枢、つまり行政をになっているということである。

三権分立が民主主義においてなぜ必要かというと、それは権力というものは暴走する可能性があり、それを防ぐためのブレーキ役であるためだ。もちろんこのようなことは「暴力装置」発言からしてウェーバーなどを読み込んでらっしゃるのであろう仙石大先生にとってはわかりきっていることなのであろうが。

権力をになう者たちはそれに自覚的であり、常に抑制的でなければならない。
その恐ろしさを目にしてしまったのが小泉政権の時である。
例えば鈴木宗男は、普通であればありえないような罪で逮捕起訴され、有罪が確定した。鈴木が罪に問われた「やまりん事件」などがアウトなら、これまでの自民党の政治家のほとんどがアウトであろう。
鈴木宗夫逮捕に至るまで、彼を排除したかった行政機関である外務省は共産党にまで(!)あることないこと情報を流した。そして小泉官邸も目をつむるどころかそれを煽り、さらに「第四の権力」であるメディアも乗っかった。
これは大袈裟にいえば民主主義の危機である。行政機関の恣意的裁量によって民主的に選ばれた立法府の議員の地位が奪われたのである。これは小沢問題にもそのままあてはまる。

管・仙石政権においておそろしいのは、自分達の今いる立場というものをまるで自覚しておらず、そのクセに権力を恣意的に使おうとしていることである。
大事にはならなかったが、「朝鮮半島有事の際は拉致被害者救出のために自衛隊の派遣を検討する」などという外交上重大な問題をほとんど思いつき(としか見えなかった)で発言する管はその象徴である。

と、ここまでで結構長くなってしまったが、実はここからが本題。危険な奴ら、である。

立ち消えになったたちあがれ日本との連立であるが、これを平沼と民主党とがイデオロギー的に相容れないという観点から冷ややかに見る考えが多かった。しかし民主党の中にはすでに平沼も真っ青の右派勢力も含まれていることを考えれば、少なくとも民主党内では問題なかったのだろう。だいたい右巻きの人は仙石を左翼に仕立てたいようだが、前原のような人物を寵愛する奴のどこが左翼だというのだろうか。

この幻に終わった連立の真の狙いとは「親財務省消費税増税大連立」にあったと見たほうがいいだろう。
そもそも「たちあがれ」の中で連立に熱心だったのは与謝野一人だったといわれる。与謝野といえば財務省べったり政治家の代表格のような人物だ。
仙石一派や岡田などはもともと消費税増税に熱心である。管は財務大臣に就任後すっかり財務省に「洗脳」されてしまった。そして自民党の執行部の谷垣や石破も財務省に近い。
民主とたちあがれが連立したところで参議院は過半数に届かず、衆議院でも三分の二に届かない。まるでメリットがないはずのことをなぜしようとしたのか。それは与謝野をブリッジにした自民党との大連立への足場を作ろうとしたと考えられる。

ちなみに記者クラブメディアは財務省べったりの政治家を「経済通」「財政通」とし、消費税増税論者を「責任ある」とする。そして小沢叩きが三度の飯よりも好きなのである。
つまり小沢抜き、消費税増税大連立はメディアからすれば最も支持できるものなのである。

政局にうつつを抜かし、政策では官僚の言いなりのメディアでは当たり前のことが報じられない。
それは「財政再建するためにはまず景気回復が不可欠である」ということである。

日本は消費税増税を行った97年に手ひどい思いをしている。
財政再建のために増税し、それが景気の悪化を招き、結局財政状況がさらに悪化してしまったのである。ここらへんのことについては『経済失政』に詳しい。

とにかく、大蔵、財務省というものは消費税をあげることが至上命題になっている。
極端にいえば景気が回復して税収が増えると増税論議が遠ざかってしまうために積極的に景気回復策をとらないのである。財政赤字を実態より過大に見せていることは多くの人が指摘している。
このような財務省に「洗脳」された人々もたちが悪い。
それ以上にたちが悪いのがかつての「小泉改革」に酔った人々、現在なら仙石に代表される「清算主義」である。
この連中の考えでは中途半端に景気が良くなると淘汰されるべき弱い連中が生き残ってしまうので景気は悪いほうがいいのである。
この二つの勢力が結びつくことがどれだけ恐ろしいことか。小泉政権では少なくとも増税志向はなかった。そう考えると、管・仙石政権とは本当に危険な存在となっている。

記憶が正しければどこかに「一に雇用二に雇用」などと言った総理がいたそうだが、雇用を増やしたければ景気を回復させるのが一番いいことなど誰にでもわかることだろう。
景気の足を引っ張る最大の要因がデフレであることの認識はようやく一般にも広がってきた。しかしかつて「インフレ・ターゲットは魅力的な政策」と言ったはずの管は、財務省と仙石に引っ張られ間逆の方向に突っ走っている。
当たり前のことを当たり前に考えることすらできない人間が権力の座にいるのである。

管・仙石政権というのはどうしよもなく愚かであるが、それだけではない。とてつもなく危険な存在なのだということはもっと意識されるべきであろう。





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