『刑事フォイル』

『刑事フォイル』をちょろちょろと見始めた。





邦題が「刑事フォイル」というくらいなのでミステリーではあるのだが、事件の謎解きという点ではやや弱めかもしれない。犯人に「証拠隠滅くらいちゃんとやれよ!」と思わず言いたくなってしまうし(現実の事件というのも往々にしてこういうものかもしれないが)、偶然に頼りすぎという感じもなきにしもあらずである。ただ、原題は「フォイルの戦争」だけに、この作品の本質はそこではなく第二次大戦下イギリスの暗部を抉り出すところにあるだろうし、このあたりは非常に秀逸な設定となっている。

戦争を利用し私腹を肥やす人物、親ナチのファシストなどが登場するが、フォイルが「刑事」としてしばしば直面するのは、イギリスにとって戦争遂行に有用な人物が罪を犯した場合に、それをどうするのかという問題だ。フォイルは軍務に就くことを希望するように愛国的な人物であるし、戦争の大義を疑っているのでもない。それでも彼は、やはり刑事としてなすべきことを為さねばならない。もちろんナチス・ドイツが悪であることは疑いようもないのであるが、では悪に勝つために悪を見逃すことが許されるべきなのだろうか。

探偵小説における探偵は、法と秩序の側に立ち、乱された秩序を回復するという役割を与えられているのであるが、では法と秩序が両立しなかったとき、探偵はどちらを向くのであろうか。正統派ミステリーという形式でありつつ、アンチ・ミステリーとまではいかないが、ハードボイルド的感性の作品でもあろう。

ミステリーというのは何よりも探偵やその周辺のキャラの魅力というのが謎解きそのものよりも大事とすらいってもいいのかもしれないが、本作でもサムやミルナーとチームになっていく様は魅力的で、「普通」のミステリーとしてももちろん楽しむことができる。

なお第一話には若き日のジェームズ・マカヴォイやロザムンド・パイクも出演している。マカヴォイは一目でそれとわかるが、パイクはそうと言われないと気がつかないかも。これから十年以上たって大きな役を射止めることになるのであった。

第二話ではダンケルクの戦いが扱われており、これもこのドラマならではの視点となっている。




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